ERCPは、胆管や膵管の病気が疑われる場合に行う内視鏡を使った検査です。当院では、何らかの原因で胆道が詰まり、胆汁が流れなくなる「閉塞性黄疸」の患者さまに対して行うことがほとんどです。
口から十二指腸まで内視鏡を進め、胆管に造影剤を注入してX線で確認しながら、必要に応じて処置を行います。検査だけでなく、胆管の詰まりを改善する治療まで行えることが大きな特長です。
おなかを切開する外科手術を行わずに治療できるため、手術に比べて体への負担を抑えられる場合があります。当科では、年間約200件のERCPを行っています。
緊急を要する症状: みぞおちや腹部の激痛、高熱や悪寒戦慄、意識がもうろうとするなどの症状があるときは、迷わず119番で救急車を呼んでください。
消化器内科をご希望の場合も、まずは内科予約外担当の外来にてご対応させていただき、担当医が必要と判断した場合に次回受診の消化器内科のご予約をおとりいたします。ただし、かかりつけ医や現在診療を受けている医療機関からの紹介状をお持ちの患者さまに限り、初回受診時から専門診療科のご予約が可能です。
紹介状をお持ちの方の受付の流れ
胆管が詰まると、胆汁に含まれるビリルビンが血液中に増えるため、共通のサインとして黄疸が出ます。下記の症状がある場合や、健診で肝機能や胆道系の数値の異常、胆管の拡張、胆石などを指摘されたときは、できるだけ早めに受診してください。
また、発熱や悪寒、腹痛、黄疸などが急に現れた場合は、急性胆管炎の可能性があります。胆管炎は重症化すると敗血症や臓器障害を引き起こすことがあるため、早急な診察と治療が必要です。急性胆管炎では、胆管にたまった胆汁を排出する「胆管ドレナージ」が必要になることがあり、その方法の一つとしてERCPが行われます。
| 治療の対象 | 原因・病名 | 症状 |
|---|---|---|
| 総胆管結石 | 胆嚢結石が総胆管に移動して詰まる | ・黄疸(皮膚や白目の黄染) ・尿が濃い茶褐色 ・便が白っぽくなる ・強いかゆみ ・上腹部や背中の痛み ・吐き気 ・倦怠感 ・悪寒・発熱(炎症が起きた場合) |
| 良性狭窄 | 慢性膵炎、自己免疫性膵炎、原発性硬化性胆管炎、Mirizzi症候群、レンメル症候群など | |
| 悪性腫瘍 | 膵頭部癌、胆管癌、胆嚢癌、十二指腸乳頭部癌など | 上記症状の他、体重減少 初期は症状が出ないことも多い |
まず、体への負担が少ない血液検査や画像検査で、黄疸の原因や、胆管が詰まっている場所を調べます。そのうえで、内視鏡による治療が必要と判断された場合にERCPで治療を行います。
| ERCPによる治療 | 治療内容 |
|---|---|
| 内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST) | 胆管の出口にある括約筋を切開して開口部を広げ、総胆管結石の取り出しや胆汁の排出を促します。 |
| 内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD) | 胆管の出口をバルーンで広げ、総胆管結石の取り出しや胆汁の排出を促します。 |
| 内視鏡的経鼻胆道ドレナージ術(ENBD) | 内視鏡を使って胆管にチューブを挿入し、鼻から体外へ通して胆汁を排出します。一時的な胆汁の排出が必要な場合や、緊急時などに行われます。 |
| 内視鏡的胆道ステント留置術(EBS) | 胆管の狭窄・閉塞した部分にステントを留置し、胆汁の通り道を確保します。ステントにはプラスチックと金属があり、種類や交換時期は原因や状態によって異なります。 |
| 内視鏡的総胆管結石採石(砕石)術 | 専用の器具を使って胆管に詰まった結石を取り除き、胆管の閉塞を解除します。 |
総胆管結石の原因となる胆石については、誰にでもできる可能性がありますが、女性、40歳代以降、肥満、妊娠・出産歴、脂質異常症などがある方では、胆石ができやすいとされています。
また、胃の手術歴、長期間の経口避妊薬の使用、絶食や短期間での急激な体重減少なども、胆石のリスクを高める要因です。
一方で、食物繊維やビタミンC、カフェインを含む食品の摂取、水分摂取、適度な運動などを心がけることで、胆石の予防につながることが期待されます。
ERCPは有用な検査・治療ですが、合併症が起こることがあります。最も多いのは急性膵炎で、約4.6%に起こるとされています。初めてERCPを受ける方では、約6.5%とやや高くなります。多くは入院のうえ、絶食や点滴などで改善しますが、まれに重症化することがあります。 ほかに、出血、胆管炎、胆嚢炎、穿孔(消化管に穴があくこと)などが起こることもあります。合併症が起きた場合は、速やかに適切な治療を行います。