変形性膝関節症

変形性膝関節症とは

変形性膝関節症は、加齢とともに膝の軟骨が少しずつすり減っていく病気です。軟骨が減ることで膝の中に炎症を引き起こす物質が生じ、これが過剰に発生することで軟骨や骨が傷み、やがて膝の形が変化していきます。

厚生労働省によると、70歳以上の女性の約70%、男性では約 48%が、変形性膝関節症の所見を持っていると言われています。女性に多い原因としては、筋肉量の違いに加え、閉経後に女性ホルモンが減少することで骨や軟骨が弱くなりやすいことがあげられます。

国民病ともいわれる身近な病気ですが、放置するとロコモティブシンドロームや寝たきりにつながることもあります。膝の痛みは軽視せず、できるだけ早い段階で適切な治療を行うことが大切です。

症状

軟骨がすり減ることで骨に直接衝撃が加わるため、立ち上がったときや歩行中、特に階段を下るときに膝に痛みが出るのが特徴的です。

また、膝の関節内の炎症により、関節液(膝の水)が増えることもあります。さらに進行すると夜間に膝が痛んだり、骨の変形が進行するため関節が硬くなり、膝を真っすぐに伸ばすことが難しくなります。

他にもO脚や体重増加、膝への負担が大きい仕事や激しいスポーツ、半月板や靭帯の損傷が要因となることもあります。

治療方法

まずはリハビリテーションなどの運動療法や、薬物療法といった保存治療を行います。

リハビリテーションでの筋力トレーニングでは、太もも(大腿四頭筋)の筋肉を鍛えることで膝を安定させ、薬で痛みを和らげて日常生活での活動を続けやすくします。ヒアルロン酸注射も選択肢のひとつですが、当院では感染リスクを考慮し、慎重に行っています。

保存療法で改善が難しい場合は、手術療法を検討します。

APS療法(再生医療)

当院では保存療法と手術療法の間をつなぐ治療選択肢として、再生医療であるAPS療法も行っており、厚生労働省の認可を受けている施設です。

APS療法とは、患者さま自身の血液から炎症を抑える有効成分APSを高濃度に抽出し、膝関節に注入することで膝の炎症を抑え、痛みの改善をめざす新しい治療です。自分の血液を使うため副作用が少なく、採血当日に治療が完了するのが特徴です。当院でAPS療法を受けた約8割の方が痛みが緩和されたと回答しています。

デメリットとして、保険適用外の自費診療となるため費用が高額なこと、効果の出方には個人差あることがあげられます。

ご興味のある方は、お気軽にご相談ください。

詳細はこちら(APS療法外来【予約制】)

APS療法リーフレットダウンロード

人工膝関節置換術

症状が重い場合は、人工関節手術を検討します。当院では、膝への負担が少ない膝単顆置換術(UKA)を積極的に導入しています。UKAは、膝の悪くなった部分だけを置換する手術で、膝全体を入れ替える従来の全人工膝関節置換術(TKA)に比べて体への負担が少なく、傷も小さいのが特徴です。

人工関節手術は安定した治療法で、効果は約20年持続すると言われています。

デメリットとしては、入院や術後のリハビリが必要なこと、手術に伴う合併症のリスクがあることが挙げられます。

詳細はこちら(膝関節に不安がある方へ)

整形外科