膝関節に不安がある方へ

膝関節置換術は国内で年間4万件以上の手術が行われています。

膝関節の主な病気

膝関節は、大腿骨(だいたいこつ:太ももの骨)、脛骨 (けいこつ:すねの骨)、膝蓋骨(しつがいこつ:お皿)の3つの骨が組み合ってできた関節で、歩くときには体重の1.5~2倍、階段を下りるときには3倍以上もの荷重がかかります。

骨の表面は関節軟骨におおわれ関節の滑りをよくしています。また大腿骨と脛骨の間には半月板(はんげつばん)と呼ばる線維軟骨があり、関節にかかる力を分散し吸収するクッションの役割をはたしています。

構造図:膝関節

1 変形性膝関節症

加齢とともに、膝関節の関節軟骨がすり減って、膝の痛みと変形が生じる病気です。
女性に多く、原因は関節軟骨の老化と考えられますが、同じように暮らしていても、個人差があります。
その中ではっきりと関係のある要因は肥満です。
変形性関節症の予防や進行を止めるためには、体重をコントロールすることが最も重要です。

最初の症状は椅子から立ち上がりの時の痛み、階段での痛み、正座ができない、ということが多いです。
その後、関節の動きが悪くなったり、時に関節にお水がたまったりして徐々に進行します。

通常、膝関節の内側の軟骨が痛むことが多く、すり減ってくると膝がO脚に変形してきます。
徐々に歩行距離も短くなってきます。

図:変形性膝関節症
図:人工膝関節手術

2 関節リウマチ

関節リウマチとは一種の自己免疫疾患(免疫異常によって体の中の正常組織を傷害する物質{自己抗体}が産生されることによっておこる病気)で、関節包の内側にある滑膜に炎症が起きて、関節軟骨が破壊されて骨が変形するため、痛み、腫れ、機能障害が起こる病気です。

全身性の病気なので、薬や注射による全身的治療が基本です。 東戸塚記念病院でも積極的に生物学的製剤などを使用していますが、膝関節の破壊が進んだ場合には手術を行います。

全人工膝関節置換術(TKA:Total Knee Arthroplasty)

これは傷んだ軟骨、骨を人工膝関節の形に合わせて薄く削り、金属、セラミック、ポリエチレンでできた人工関節を自分の骨の上にしっかりと固定する手術です。

日本でも年間に4万件以上の手術が行われています。手術治療の中で最も痛みをとる効果が高く、また変形の矯正が行え、安定した手術です。

当院では、可能であればMIS法(最小侵襲手術)を行っております。

術後のリハビリについて

リハビリは術後1日目より行い、荷重も許可しています。
人工膝関節の耐久性は、20年間ゆるみがなく、日常生活が過ごせる可能性が95%以上あり、長期に安定した手術法です。

また両側性でO脚の足もまっすぐになります。退院は個人差がありますがほぼ4週以内にT字杖にて退院しています。

図:人工膝関節術後

単顆型人工膝関節置換術(UKA:Unicompartmental Knee Arthroplasty)

上記説明した人工膝関節全置換術(TKA)のほかに人工膝単顆置換術(UKA)があります。悪くなった内側部分、もしくは外側部分のみを人工関節に置き換える手術法です。

UKAは骨を削る量が少なく筋肉は切開せず筋間から展開します。そのため膝関節に対する侵襲もさらに小さく、何よりも術後の痛みがTKAに比べて非常に小さいためリハビリ訓練も楽で回復が早いです。さらに入院期間が1~2週で非常に早く退院が可能です。高齢の方でも手術が可能で、最近はTKAよりもUKAを行う比率が高くなっております。

痛みを我慢していると高度に変形しUKAでは対応できなくなることもありますので早めに医師に相談しましょう。

人工関節センター