日本で1,300万人以上いるとされている骨粗しょう症の患者さまの中で、脊椎圧迫骨折は最も発生率が高い骨折です。毎年約10万人の方が新たに発症し、そのうち約3割の方が背部痛を訴えています。そのままにしておくと歩行困難となり寝たきりにつながるリスクがあるため、早めに適切な治療を受けることが重要です。
経皮的後弯矯正術(BKP:Balloon Kyphoplasty)とは、脊椎圧迫骨折で潰れた背骨をできるだけ元の形に戻し、痛みを和らげる手術です。背中を小さく切開し、骨折部にバルーン(風船)を挿入して膨らませることで骨を矯正し、そのスペースに骨セメントを注入して固定します。手術は約30分で終了し出血も少ないため、通常は3日から1週間ほどで退院が可能です。
BKPは、脊椎外科の専門知識を持つ医師がトレーニングを修了し、必要な設備が整った施設でのみ実施可能な手術です。当院は、こうした条件を満たしたBKPが実施できる施設です。
BKPの手術後は、多くの方で痛みの軽減が期待できますが、骨折しやすい状態や、骨の変形そのものが完全に治るわけではありません。そのため、リハビリやコルセットの使用など、術後の適切な管理が大切です。当院では、患者さま一人ひとりに合わせたサポートを行い、日常生活への早期復帰を目指します。
BKPは、骨粗しょう症や転倒などで脊椎圧迫骨折を起こし、背中や腰の痛みが強く、安静や薬物療法、コルセットなどの保存療法でも十分に改善しない場合に適用されます。日常生活に支障がある方や、早期に痛みを和らげたい方に有効ですが、すべての骨折に適応できるわけではなく、骨折の状態や年齢、全身の健康状態などを総合的に判断して決定されます。
骨が大きく潰れているなどBKPでは対応できない重症例では、損傷した椎体を人工の椎体で置き換える椎体置換術という、高度な治療法が検討されます。
椎体置換術は、骨折や腫瘍などによって椎体(背骨の骨)が大きく壊れてしまった場合に行う手術です。損傷した椎体を部分的または全体的に取り除き、人工の椎体(ケージ)や金属製の支柱で置き換えることで、背骨の安定性を保ちます。
当院では、O-arm(オーアーム)というナビゲーションシステムを使用し、手術中に立体的により正確で安全な手術を行っています。O-armを用いることで、術中にリアルタイムで骨の状態を詳細に把握できるため、正確な位置に人工椎体を設置することが可能となりました。