「鼠径ヘルニア(そけいヘルニア)」とは、本来ならお腹の中にあるはずの腹膜や腸の一部が、加齢とともに筋肉の脆弱性により足の付け根の部分(鼠径部)より脱出する病気です。一般の方には「脱腸」とも呼ばれています。
初期は、立った時などお腹に力を入れた時に鼠径部の皮膚の下に腹膜や腸の一部などが出てきて柔らかい腫れができますが、普通は指で押さえると引っ込みます。次第に小腸などの臓器が出てくるので不快感や痛みを伴ってきます。はれが急に硬くなったり、膨れた部分が押さえても引っ込まなくなることがあり、お腹が痛くなったり吐いたりします。これをヘルニアのカントン(嵌頓)といい、急いで手術をしなければ、命にかかわることになります。
治療法は手術が第一で、手術法は従来法と腹腔鏡があります。治療法は、腸が出てくるヘルニア門を人工物で閉じることとなります。
この文書は御自分の病気を十分に知り、ご理解納得したうえで治療を受けて頂きたいという想いで作成しました。もちろん、セカンドオピニオン(他院の意見)をお求めの方は遠慮なく申し付け下さい。
今回手術をすることで少ない頻度ではありますが、個々の身体状況に関連する合併症、または予測しえない偶発症が発生する危険が存在します。外科スタッフ、看護師一同手術前後を通して最大限の努力をしていくつもりですが、100%保証されるものではなく不確実な部分も存在します。これらの点を十分ご理解した上で手術に同意・承諾していただけたら幸いです。
東戸塚記念病院
神奈川県横浜市戸塚区品濃町548-7
外科部長 松本 匡史