内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

内視鏡的治療とは、食道、胃、大腸などの消化器官にできた早期がんのうち、リンパ節転移の可能性がほとんどない病変に対して行われる治療法です。体表を傷付けないため低侵襲で、外科手術に比べ入院日数が短く、患者さんの負担も少なくてすみます。内視鏡治療には、以下の3つの方法があります。

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内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)について

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、早期がんやポリープなどの消化器の病変を内視鏡を用いて粘膜ごと切除する手法です。

ワイヤーを病変にひっかけて焼き切るEMRポリペクトミーは、大きさに制限があるのに対し、ESDではやや深いがんや、広がりが大きい病変、技術的に難しい場所にある病変に対しても適応されます。一方で高度な内視鏡技術と専門知識を要する手技であり、熟練した術者を要します。

ESDの対象

消化器(主に食道、胃、大腸)に発生したがんで、粘膜層あるいは粘膜下層の粘膜層にとどまっている、深達度が浅い早期がんに対して行われます。

固有筋層より深くに浸潤している場合や、リンパ節に転移が疑われる場合には、外科手術の適応となります。

また、ESDで切除した後に、病理診断によりESD適応外と判明した場合、外科手術となることもあります。

ESDの手順

❶ マーキング
内視鏡で患部を観察し、病変(がんやポリープ)の特定と評価を行い、周辺に目印をつけます。

❷ 薬液を注入
生理食塩水などを注入して、粘膜を隆起させます。これにより、粘膜下層の解離を行いやすくします。

❸ 切開
特殊な切開器具(ESDナイフ)を使用して、マーキングを囲むように粘膜を切開します。

❹ 剥離
粘膜下層を剥離していきます。この工程では、周囲の重要な構造(筋層など)をできるだけ保護しながら進めます。

❺ 切除
剥離した組織を回収し、病理検査にまわします。がんの確定診断や治療方針に役立てられます。

❻ 止血
出血が生じた場合には、処置を行いながら手術を進めます。特殊な凝固器具や止血剤が使用されることがあります。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)の手順

内視鏡的粘膜切除術(EMR)は、表面が平らながんに対して行われる治療法で、病変の下に生理的食塩水を注入し隆起させてからスネアという金属のワイヤーをひっかけて高周波電流で焼き切ります。

ワイヤーに収まる深達度が浅い早期がんが対象です。

❶ 生理食塩水などを注入して、病変を浮き上がらせます。

❷ 病変にスネアと呼ばれる金属の輪っかをかけます。

❸ ワイヤ-を締めつけ、高周波電流で焼き切ります。切り取った組織は回収し、病理検査にまわします。

内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)の手順

ポリペクトミーとは、茎のあるポリープに対してスネアという金属のワイヤーをひっかけて切除する治療法です。

ワイヤーに収まる深達度が浅い早期がんが対象です。

❶ ポリープにスネアと呼ばれる金属の輪っかをかけます。

❷ ワイヤ-を締めつけ、高周波電流で焼き切ります。

❸ 切り取った組織を回収し、病理検査にまわします。

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