胆石症は狭義では胆嚢内結石(胆嚢内に石ができること)を指し、広義では胆道内の結石全体を意味する。ここでは狭義の胆石症、胆嚢結石症について説明致します。
コレステロール結石と色素結石に分けられます。
人間ドックで胆石を指摘される頻度は約3~5%です。
胆石のできやすい方は、太っている(Fatty)、40から50歳代(Forty-Fifty)、女性(Female)、たくさんお産をされた方(Fertile)であり、英語の頭文字をとって4Fと言われています。
ほとんどは症状のない無症状胆石といわれています。無症状胆石から症状を呈する確率は年率1~2%、10年で20~30%程度といわれています。主な症状は腹痛です。結石が胆嚢頸部や胆嚢管に引っかかって胆嚢内圧が上昇するために起こる病態と考えられています。腹痛部位は心窩部(みぞおち)、右背部に多い。食後、特に夕食後、夜中、すなわち胆嚢の最大収縮期に起きやすい。脂肪分(脂っこい食事の)摂取との関連性も特徴的です。
今回の症状の原因は胆石症と考えておりますが、まれに潰瘍や腫瘍の合併によることがありますので、病状によっては検査をお勧めしています。
手術(胆嚢摘出術)の術中合併症として、胆管損傷、出血、腸管損傷、肝損傷、などが挙げられます。術後合併症として、後出血、胆汁瘻(胆汁の漏れ)、創感染、呼吸器合併症、皮下気腫などが挙げられます。
胆嚢摘出後の消化吸収機能の明らかな低下を証明する報告はありません。日常診療上、胆嚢摘出後の患者に軟便・下痢などの消化器症状がみられることはあります。胆嚢摘出後1~2ヵ月に排便回数が増加し、排便習慣の変化がみられたものの、3カ月以降では、6%に間欠的な下痢がみられるのみと報告されています。
以上、胆嚢結石症に関して一般的な概略を説明いたしました。治療に関しては、それぞれ一人ひとりの病状、既往歴、合併疾患、年齢、体力を考慮し最適な方法を選択しなければならないと考えております。是非、病気をご自身でもしっかり理解していただき、納得したうえで治療を受けていただきたいと思います。ご不明な点があれば遠慮なく主治医にご相談ください。
尚、ここに記載した治療方針に対して、セカンドオピニオン(他の医師の意見)を聞きたいなどのご要望がございましたらお知らせください。紹介状を用意し資料の貸し出しを致します。
東戸塚記念病院
外科部長 松本 匡史