尿道に用いるステントは直径7~8 ミリのコイル型(筒型)をしています。
前立腺の肥大により狭くなった尿道部に留置します。
コイルは形状記憶合金(特別なチタン合金)で、50℃以上で一端が拡大し、10℃以下では柔らかくなります。結石がつきにくく感染しにくい材質です。
前立腺肥大症による尿閉に対し、内服薬で効果がない場合や、様々な理由により手術ができない場合(心臓・脳・呼吸器などに重度の疾患があり手術に耐えられない、高齢であり全身状態が悪い、抗凝固剤内服を数日でも中止できない、手術には耐えられるが本人家族が入院手術を希望しない、など)は尿道カテーテル(長いおしっこの管)の留置を余儀なくされることが多いのが現状です。 ステントは局所麻酔の外来手術でおこなうことが可能です。また、あとで抜くことが可能なので、手術をためらっているが現状をとりあえずどうにかしたい、という方にも一時的な治療法としておこなうことができます。
特別な準備は不要です。局所麻酔を選択された場合は通常に飲食ができます。
仰向けになり、尿道出口より麻酔ゼリーを注入します。静脈麻酔で行うこともあります。
次に尿道出口から造影剤(レントゲンに写る液)を注入します。
そしてレントゲンで尿道の長さをはかり、位置を決めます。
尿道の長さにあうステントを挿入し、約50℃の生理的食塩水を注入します。ステントが拡張し、最終の位置確認をしたら手術は終了です。
手術時間は30分前後です。
多くの場合は、手術直後に排尿の改善が確認できます。
稀に急性の排尿困難、尿閉、発熱がおこることがあります。
そのため数日の入院をしていただきます。
麻酔が切れた後に、尿道に不快感を覚えることがあります。その症状は鎮痛剤や抗菌剤の内服で徐々におさまります。
術後、定期的に外来受診をしていただきます。ステントが正しい位置にあるか、長さが適切であるか、汚れすぎてないか、など簡単な検査を適宜おこないます。
ステントの寿命は数年単位ですが、位置や長さや汚れに異常がみられたときは交換が必要になります。交換も局所麻酔でおこなうことが可能です。またステントを装着している旨を記したカードをお渡ししますので、他の科や医療機関で診察を受けるときは(救急車を使う事態のときは特に)そのカードを必ずご提示ください。
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泌尿器科外来
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