脳卒中の後遺症としてみられる運動障害の一つに痙縮(けいしゅく)という症状があります。痙縮とは、意思とは関係なく筋肉の緊張が高まり、手や足が勝手につっぱったり曲がってしまったりしてしまう状態のことです。痙縮では、主に以下のような症状が見られます。
痙縮による姿勢異常が長く続くと、筋肉が固まって関節の運動が制限されてしまう拘縮(こうしゅく)という状態に陥り、ご本人やご家族の日常生活に大きな支障をきたしてしまいます。
また、痙縮そのものがリハビリテーションの障害となることもあるので、痙縮を治療することによりリハビリテーション(ストレッチ含む)がしやすくなります。
治療には主に次のような方法が一般的に用いられています。
実際、痙縮の程度や範囲、患者さんの希望などを考慮し、リハビリテーションとこれらの治療法を組み合わせて痙縮の治療を行います。
神奈川県内で脳卒中を患われている患者数は約10万人。そのうち痙縮のある方が約4万人。
痙縮で治療が必要な方のうち、ボツリヌス療法を施行されたのはわずか3,000人で、残りの8割にあたる約1万人の方は、現在も日常生活に大きな支障をきたしたまま過ごされているものと推測されます。